2012年12月10日

プラサード・メルヘンセラピー

11月23日〜25日にプラサードがありました。
最終日の発表には子どもの権利条約フォーラムに行かなきゃいけなかったので発表できませんでした。
なのでここにレポートと私のお話を発表させてもらおうと思います。

プラサードの大きな3つのテーマは
encounter(エンカウンター=出会い)
existential(イグジステンス=実存)
encouraging(エンカウンター=勇気づけ)
ということを大切考えて、深く自分と出会い、深く他者と出会う時間であるように導いていただきました。
まず円になって隣の人と自己紹介をしました。「属性(名前、出身地、職業、家族、趣味など)」は「エンカウンター(本当の出会い)」 とは無関係なので、3つのタスク「仕事・交友・愛」について、自分はどういうふうに考えて、どういうふうに感じて、どういうふうに行動しているか、自己紹介をしました。
そのあと、「自分の弱さ(personal weakness)」について「〜さんと一緒にいると、私は〜の点で劣等感を感じる」 という文を紙に書いて、輪の真ん中に置き(1人2〜3枚)置き、
全員が2〜3枚紙を拾って読み上げました。
その後、今度は「つよさ(personal strength)」を「〜さんと一緒にいると、私は〜の点で優越感を感じる」と書いて同じワークをしました。
これで自分がどういう劣等感を持ち、どういう価値観を持っているか少しわかるような気がしました。
 次に「あなたは死んで生まれ変わるとしたら、なりたいものは何ですか?」 と聞かれました。それが私たちの物語の主人公となります。
「主人公は、1つの弱さと、3つの強さを持っています。さっきたしかめたみなさんの弱さと強さを参考にして下さい。弱さはあまりたくさんいりません。読者を常に意識して魅力のある主人公にして下さいね」とのことです。
物語を作るにあたり最初に
・主人公の生い立ち 
・事件  
・敵 の3つの設定を作るよう指導を受けました。
だいたい書けたらまた全員輪になって、 おのおのの作品の「書き出し」のところと、「旅立ちの道行き」のところを読んで、一人ずつを先生に指導していただきました。
情景が作者によく見えるよう、読者と一緒に旅に出られるよう表現しなくてはいけない。
情景だけでなく主人公の生い立ち人物像を決めるとき、
その子は何歳か、対象の読者層は何歳くらいをイメージしているのか、5歳以下か、10歳以下か、10歳以上か、
主人公はどこに住んでいるのか、 誰と住んでいるのか、なにをしていているのか、
などを決めていきます。
この人はどんなところに生まれて、どんな家で育って、どんなきょうだいがいて、
どんな世代を、どんな人達と生きてきたのか、
そして、物語の「敵」役を決めるときの参考に、「子ども時代に怖かったもの」を考える時間がありました。私は大きな声で脅かすおじさんにおびえた早期回想が出てきたので、敵はこれになりそうでした。これらの条件を満たしていくと不思議にお話が心の中に立ち上がってきました。
うまい下手じゃなくて、自分のライフスタイルを知るため、そして少しでも成長させるためのお話を作るのです。
私の主人公は5歳の黒い男の子の犬で、ちょっと怖がりなところがあるけど、元気な頑張り屋さんでお父さんやお母さんが大好き、ということに決まりました。対象読者は5歳くらいから小学校低学年読者この子が問題解決に当たり成長するという目標に向かって進んでいきました。

以下が私のお話です。長くて申し訳ないけど、呼んでいただけたら嬉しいです。


 昔々あるところにトリという5歳になる黒い犬の男の子がいました。かけっこが大好きな元気な男の子です。
 ある日トリはお父さんお母さんといっしょに遠くの村にやってきたのですが……
「ぼくは昨日、湖のほとりの村からお父さんお母さんと3人で山をこえ、半日も歩いてこの村のお祭りに遊びに来たんだよ。お父さんと踊りを見たり、お母さんにお菓子を買ってもらったり、すごく楽しかったんだ。だけどとってもきれいな紫のチョウチョを追いかけているうちに村はずれの小川まで走ってっちゃって、村に戻ったけどたくさんの人でお父さんもお母さんもみつからない。ぼくははぐれちゃったんだよ。何とかお父さんとお母さんを探さなきゃいけないんだ。」
 こうしてトリはお父さんとお母さんを探す旅に出なければならなくなりました。
 トリは思います。
「ぼくは一人で旅するなんて……。どうしたらいいんだろう、ぼくが持っているものといえば、お誕生日にお父さんが首にかけてくれたお守りのこの金の笛ひとつだけなんだし。これからどっちに行けばいいんだろう」
 やがて祭りの終わった村では日も暮れかかり通りには誰の姿も見えなくなり、いっそう心細くなるばかりです。するとそこへ一頭の大きな白い犬が通りかかりました。お母さんよりうんと年が上そうでお父さんより大きな犬です。旅の途中なのかまっすぐ目的地を目指しているのがわかります。

 トリが「おばさん、どこへ行くのですか?」と聞くと、白い犬は「山の向こうの湖のほとりの村にいる友だちのところに行くんだよ」と答えてくれました。トリは「あっ、それはぼくたちの村かもしれない。おばさんぼくを一緒に連れて行ってくれませんか?ぼくはお父さんとお母さんと一緒にお祭りに来たけどはぐれちゃって会えなくなってしまったんです。ぼくは一人じゃお父さんお母さんを探せません。」とたのんでみました。すると「おやそうかい、うぅん子づれねぇ…」と少し迷いましたがトリの首に下がっている笛を見て「そうだねぇ、連れてってもいいけど、その金の笛をくれるかい?ちょうどそういうお守りがほしいと思っていたんだよ。」と言いだしました。
 トリがびっくりして「これはお父さんがぼくの5歳の誕生日にくれた大切なお守りです。なくしたと知ったらお父さんがどんなに悲しむかしれないもの。これだけはあげられません」と言うと白い犬は「これだけって、ほかに何も持ってないじゃないか。それじゃぁ一緒に連れてなんか行けないね。」と、許してくれません。とても悲しかったけれど「お父さんとお母さんにもう一度会うためなら」と思ったトリは白い犬に金の笛を差し出しました。白い犬はとてもうれしそうに「なんてきれいなお守りだろう」と首にかけると、また歩き始めました。トリはあわててついて行きます。

 白い犬は村はずれの小川にかかる橋を渡って進んで行きます。村から離れるにつれ、道はだんだん細くなり両わきの草が深くなっていきます。しだいに木々もふえていきトリにも「山に向かっているんだな」ということがわかります。道を進みながらも白い犬は時々立ち止まって「この低い木になっている黄色い実はよい食べ物で元気が出るよ」だとか「このわき水はほんとにおいしいよ」などといろいろなことを教えてくれます。トリは早くお父さんとお母さんに会って、今覚えたことを聞いてもらいたくて一生懸命歩いてついて行きました。

 そうしてとっぷりと日も暮れ、ブナの木がたくさん繁っている森の入り口につきました。夜の森からは「ほうほう」と鳴く鳥の声が時おり聞こえてきます。白い犬が「今夜はここで寝るとしよう」と、柔らかそうな草むらの上に寝そべりました。トリも白い犬の横にくっついて寝ることにしました。大きな犬のそばにいるだけでとても暖かく安らかな気もちです。ふたりはすぐにすやすやと寝息をたてはじめました。

 静かな森の夜、聞こえてくるのはふたりの寝息と星のまたたきだけ、かと思ったその時です。森の奥の奥、だれも足を踏み入れたことのない、おどろ沼のあたりからおそろしい叫び声が初めは遠く、しかしだんだんと大きく近づいて聞こえはじめました。

 大きな白い犬がまず飛び起き「たいへんだ、おどろ沼のドラゴンが目を覚ました!」と身をふるわせます。「ぼくたちどうなっちゃうの?」とトリが泣き出すと「見つかったら最後だよ。食われてしまう。まさかあいつが目を覚ますなんて。こりゃぁいったいどうすりゃぁいいんだろう」と白い犬も今にも泣きそうです。

こんな時お父さんがいてくれたら、と思ったトリは空を見上げて「お父さん!」と呼んでいました。すると見上げた大きなブナの枝にいる大きなアオバズクに気がつきました。アオバズクはじぃっとトリを見ています。トリは思わず「おじさん、ぼくどうしたらいいの?」とたずねました。 
 アオバズクの大きな瞳は何でも知っているもののような気がしたからです。
トリの耳に静かな低い声がひびきました。
「ドラゴンは笛の音きらう、笛の音こわい」

 トリは「あっ!」と叫んで「おばさん、その笛を吹いて!」と白い犬に言いました。白い犬はあわてて笛を吹きました。でも小さな笛は大きな犬には合わなくて、ひょろひょろと小さな音しか出せません。
「おばさん、ぼくが吹く!」とトリは力いっぱい笛を吹きました。胸いっぱいに息を吸い込んで、ありったけの力で吹くと、するどい音がしてドラゴンの声が少し小さくなりました。トリは「おじさんの言ったことは本当だったんだ」とわかりました。

 そしてこれでドラゴンがいなくなると信じたトリは何度も笛を吹きました。しかし笛を吹くたびドラゴンの声は声は少し小さくなりますが、トリが息つぎをするとまたすぐに大きくなります。いえ、そればかりでなくだんだん大きく近くなるような気がします。

 困ったトリがもう一度アオバズクの方を見るとまた声が響きます。
「遠い笛は弱いもの、近くの笛は強いもの」
 なんてことでしょう、トリはドラゴンのそばで笛を吹かなければならないのです。

 「いやだ いやだ いやだ。そんな恐ろしいことなんかできるわけないよ」と、大声で泣きだしました。けれど、泣いているうちにもドラゴンの声はどんどん近づいてきます。トリは泣きながらも「こわい!こわい!こわい!!だけど」と思います。「このままドラゴンに食べられちゃったら二度と大好きなお父さんとお母さんに会えないんだ。そんなのいやだ!こわいよりもっといやだ!!」そう思ったときトリは走り出していました。
 おどろいた白い犬は「トリ!やめなさい、食われちゃうよ。私が行くよ!」と立ち上がりました。でもトリが叫びます。「白いおばさんより黒いぼくのほうが見つかりにくい!ぼくのほうがきっといいよ、まっておばさん!!」と、まっすぐ声の方へ走っていきました。

 そして恐ろしい叫び声に耳がわれそうなくらい、ドラゴンの姿がはっきり見えるくらいまで近づいたのです。恐ろしい大きな赤い口と、うねるヘビのような太い胴、燃える火のような両の目、吹き上げる炎のような角に気がとおくなりそうなトリでした。ドラゴンからは夜の闇の中のトリをはっきり見つけられず、きょろきょろしています。
 トリは「よぉし!」と決心してさっきよりもっともっと力いっぱいお父さんのくれた金の笛を吹きました。何度も何度も吹きました。もう息ができなくなるまで吹きました。

 そのかいあってドラゴンはだんだん苦しげに後ろに下がり始め、悔しそうに後ろ向きになっておどろ沼へ帰っていきました。「やった」とつぶやいたトリは本当に気が遠くなって草の上に倒れてしまいました。
「トリ、ありがとう。あんたのおかげで命拾いをしたよ」という白い犬の声で目を覚ましたトリは、今度はうれしくて涙が出てきました。やがてあたりは次第に明るくなり、森にはきれいな朝が訪れました。

 元気をとりもどしたふたりはまた、白い犬の目指す村に向かっていきました。白い犬の目指した村についたとき、トリはそこがお父さんとお母さんのいる村でないことを知りました。トリはどんなにがっかりしたでしょう。そして白い犬はトリをかわいそうに思いましたが、白い犬の旅は終わりです。

 白い犬は「トリ、どうするかねぇ。なんならここで一緒に暮らすかい?」と言ってくれました。トリは少し迷いましたが「ううんおばさん。ここからはぼく一人で行くよ。とてもお父さんとお母さんに会いたいし、おばさんに旅のことを教えてもらったし。金の笛を返してくれてありがとう。」と元気に答えました。
 
 そうしてトリはにっこりと白い犬に手を振って新しい湖を目指して旅立っていきました。
                            
                                            おしまい

posted by yuko at 10:23| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Yukoさん

ほんとにすてきな物語を読ませてくださって
ありがとうございます!!
弱さと強さと成長
トリと一緒に旅をさせてもらいました。
感想というか、言葉にすると
大切なものがこぼれおちていくようで
悲しいんですけど、
Yukoさんの世界への周りのひとへの信頼って
ほんとすごいなあってあらためて
思いました。
自分が怖いと思っているものとほんとの怖さが
何か見極めようとする力とか勇気
終わりなき旅へ踏み出していく勇気

私も自分の物語を書く旅に出てみたいです。
いつかYukoさんと丹後のみんなと一緒に♪
夢がまたひとつ出来ました。
Posted by ねぎぼうず at 2012年12月11日 11:33
ねぎちゃん

長い話を読んでくれてありがとう!
ムキになってがんばるライフスタイルが丸出しです。
「逃げるってないのか」という方がおられました。
え?逃げる……
あぁ、そういう生き方もあるのか、とは言われるまで気がつきません。
はぁぁ……。
Posted by yuko at 2012年12月12日 12:30
その逃げないで頑張っておられるお姿から
たくさん学ばせてもらっている者のひとりでございます(*^_^*)
Posted by ねぎぼうず at 2012年12月13日 10:04
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